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A crescent moon
第13章 逢瀬

「いいの?高いのに、こんな…」
私は店から出て、自分の姿に恐れおののいた。
おそらく自分の給料は飛ぶほどのお金をかけたドレスと靴、そして髪。
「いいって。美和綺麗だし。似合ってる。花嫁さんみたい。」
白のワンピースから出た腕が少し寒かった。
花嫁さん
その単語に、正弘さんを思い出してしまう。
『本当に似合ってる、美和、綺麗…』
『…ありがと…』
何度も別れようと考えながら切り出せない日々の中でも、やっぱり初めてウェディングドレスを試着した日は何だか照れくさくて、幸せだった。
正弘さんの笑顔は全部本物だったから。

