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A crescent moon
第13章 逢瀬

通された席につき、ヨシキに全て任せて私は下に広がる街に見惚れていた。
注文を終えたヨシキがこちらを見つめていることには気づいている。
だけど、顔を合わせられない。
目を見られない。
こうして2人でご飯を食べるのは、あの日以来だったり
照れくささと少しの不安がさっきから私を包み込んでいた。
「美和、ここに住む?」
唐突な彼の問いに驚いて向き直ると、ヨシキは真剣な顔で私を見ていた。
「…」
二人の間に沈黙が流れる。
頼んでいたワインがグラスに注ぎ込まれている間も、二人は何も話さずじっとみつめあっていた。

