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A crescent moon
第16章 遥走

「そんなとこかな。」
ヨシキは音楽のことになると、すごく嬉しそうな顔をする。
それが私も嬉しい。
本当は、ヨシキの話が少しでもわかるように、彼と世界観をちょっとでも共有できるようにと思ってsound boxにまた行き始めた。
あと…ヨシキのことをもっと知りたかったというのもある。
篠原さんの話だってまだ納得できていなかったから。
それがだんだん音楽自体に興味が出てきて、実際いまではすっかり自分の好きなバンドもあったりする。
タクシーに乗り、ホテルの前に着くとヨシキがお金を払って先に行くように言った。
最後に気を緩めると、誰が見ているかもわからない。
エレベーターに乗りボタンを押す。
「楽しかったなぁ…」
思わず今日一日を思い出してにやけそうになった。

