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A crescent moon
第5章 過去

それから何度か正弘さんの目を盗んで、音楽番組を見た。

ヨシキは全然喋らない。
リーダーらしきドラマーのカズがいつも喋っている。

家に帰り、すぐにテレビをつけるとヨシキがアップで映った。

「あ~..始まってた....」

残念に思いながら夕飯の準備に取りかかる。
しかしすぐに玄関の扉が開いたのに気づき、慌ててテレビを消した。

そのまま玄関に向かうと、正弘さんが靴を脱いでいた。

「お、お帰りなさい。」

「ん?ああ、ただいま。」

私に気づき頭をあげると、ニコッと笑った。
一瞬気分が下がっていたけど、何となく持ち直し、私は鞄を受け取った。

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