この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
A crescent moon
第5章 過去
「あ、お母さんか。..はいもしもし?」
『美和~?元気~?』
「まあまあかな。お母さんは?」
『元気さ~!正弘さんはどげしとる?』
「元気。どうしたの?」
私は耳に電話を挟んで、フライパンに具材を放り込んだ。
『いやね~この間、金貸してくれたろ?それで会社の借金もほとんど無くなったけぇ。』
「えっ....」
初めて聞く事実に私は一瞬電話を落としそうになった。
『なんや、聞いとらん?ほんまぁ正弘さんに申し訳のぉてなぁ。婚約者やけ当たり前じゃゆうてな。一応まずはお礼ばかり言わんとって..』
「..いくら借りたの?」
『ん?まぁ..前に貸してくれた分増したくらいやな...ちゃんと返すから大丈夫や。美和が結婚すりゃあ、父さんまた必死に頑張るゆうとるで。』
「..まず私に言ってよ..」
(どんどん貸しができていくじゃない..)
私は真っ暗な気持ちで呟いた。