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A crescent moon
第5章 過去

「あ、お母さんか。..はいもしもし?」

『美和~?元気~?』

「まあまあかな。お母さんは?」

『元気さ~!正弘さんはどげしとる?』

「元気。どうしたの?」

私は耳に電話を挟んで、フライパンに具材を放り込んだ。

『いやね~この間、金貸してくれたろ?それで会社の借金もほとんど無くなったけぇ。』

「えっ....」

初めて聞く事実に私は一瞬電話を落としそうになった。

『なんや、聞いとらん?ほんまぁ正弘さんに申し訳のぉてなぁ。婚約者やけ当たり前じゃゆうてな。一応まずはお礼ばかり言わんとって..』

「..いくら借りたの?」

『ん?まぁ..前に貸してくれた分増したくらいやな...ちゃんと返すから大丈夫や。美和が結婚すりゃあ、父さんまた必死に頑張るゆうとるで。』

「..まず私に言ってよ..」

(どんどん貸しができていくじゃない..)
私は真っ暗な気持ちで呟いた。
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