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A crescent moon
第5章 過去
『へ~..じゃあ美和の..幼なじみ..』
『まぁ、そんな感じです。』
仙道くんが小さく頷いて、ビールを一口飲んだ。
正弘さんが私をチラリと見たのがわかる。その黒いオーラに気づきながら、私は俯いたまま箸を動かした。
『あっ..幼なじみっていっても、妹みたいな感じでしたね。』
わざと明るく笑う仙道くんは、正弘さんのただならぬ雰囲気に気づいているのかもしれない。
『仙道くん、そない飲んだら車運転でけへんよ、今日泊まってくかね?』
お母さんが心配そうに言うと、慌てて首を振った。
『いや、田舎道やけぇ大丈夫です。』
(大丈夫かな..)
昔からお酒に弱い仙道くんがいつもに増して飲んでいた。
顔がほんのり赤い。
すると正弘さんが言った。
『田舎道でも事故はありますし。松方建具の貴重な後継人に何かあれば大変だ。それに命を落としては元も子もないです。』
その言葉に仙道くんはグイッとビールを煽った。