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A crescent moon
第6章 再会
「あ…」

ずっともう一度会いたかった人が今、目の前にいる。
身体が緊張して動かなかった。

「…美和。やっぱり美和だったんだ。」

透き通った声が耳から入ってきて、あの時間が思い返された。

「なに?お前ら知り合い?」

タクトさんが驚いたように私たちを交互に見る。

「…ちょっとね。タクト、お前フロアに戻ってて。」

「いいけど、美和ちゃん後20分以内には出なきゃなんねえから。」

その言葉にヨシキがうなづくと、フロアに戻っていった。

私に向き直ると、頬を包まれる。

「…最近は?ボクシングは?」

「…レスリングじゃなかった?」

出てきた声は震えていた。
私の言葉にクスッと笑って手を離す。
ドアにもたれて腕を組んだ。

「私のこと覚えてたの?」

聞くと、少しして首を振った。

「…そう。」

(そうだよね…一夜限りの女のことなんか覚えてるわけないか。)

頭では分かっていても、内心ショックを受けていた。


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