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A crescent moon
第6章 再会
「ステージからは見えないんだ。観客の顔。でもさすがに最前列で泣いてると目立つ。」

私は恥ずかしくてうつむいた。

「昔馴染みのここにくる子は大体顔覚えてる。最近来た子かなって思ったけど、タクトに聞いたら美和って名前だって言うから…」

「友達につれてきてもらったの。」

「タクトの女でしょ?…とにかく美和って名前聞いて思い出した。」

「顔忘れるくらい女を抱いてるのね。」

私が笑うと、首を振った。

「そんなことない。ただあの時は…いや、何もない。ちょっといろいろあって。それに人の顔おぼえるの苦手なんだ。ごめん。」

(私はずっと覚えてた。ヨシキをずっと見てたのに…)

「でも、心がこもってないって言われたのは美和が初めてだったから、あの日のことは忘れてない。顔がおぼろげだったんだ。」

私は腕時計を見た。
もっと話したい。
でも・・・

「ごめん、私帰らなきゃ…」

私が言うと、そっか、と肩を浮かせた。

「じゃあ…」

名残惜しくなる前に背を向けると、

「美和。」

いきなり腕を引かれ、正面をむかされた。

「な、なにッ!?」
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