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A crescent moon
第7章 密会
「じゃあ、今日はそのまま良子ん家いくから。」
「うん。」
出勤前の正弘さんが玄関でぎゅっと私を抱きしめる。
「あ~一日美和が家にいないのは寂しいな。」
「…のびのびできるかもよ?」
苦笑して言うと、むっとしたように顔を離した。
「美和がいなかったら寂しいよ。」
私はチュッとキスしてごまかした。
「いってらっしゃい。」
「うん、いってきます!美和も気をつけて。良子さんによろしくね。」
「うん。」
パタンと扉が閉まって、最後に正弘さんの笑顔が見えた。
ズキンと胸が痛む。
「ごめんなさい、正弘さん…でも…私、それでも会いたいの…」
(結婚する前に。私が他の人と恋できなくなる前に…)
部屋に戻って化粧を直して、出社の準備をする。
私はふと目を閉じて、玄関の扉を開けた。