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鼓膜から流れ込む愛
第1章 出会いと告白
「本当にすみませんでした!!!」

私はカウンター越しに全力で謝る。

「そんなに謝らなくても大丈夫ですよ」

微笑みながらそう言ってくれた男性はここのBAR『Lento』のマスターで、片平健二 (カタヒラケンジ)というお名前らしい。

コンビニで再開した際に半泣きで怯えながら謝っていたら、店員さんや他のお客さんに怪訝な顔で見られていた為、場所を変えて話そうということで、私たちはLentoに入った。

そこから私は全力で謝り倒した。

あの時、声がドストライクだった事に動揺し、咄嗟に告白を口走ってしまったこと。

決して怪しい者ではないこと。

告白は真に受けないで欲しいこと。

それらを必死に説明、和解(?)をし、せっかくなのでドリンクと軽いつまみを頂いている。

(それにしても…)

最初に見たときは恰幅が良いのかと思っていたが、近くで見るとガタイの良さはほとんど筋肉のようで、胸板も厚いのがぴっちりしているバーテン服のおかげでよくわかる。

少し長く黒い髪を後ろで結んでおり、顎髭を生やしているが全く不潔な感じはない。むしろ色気を醸し出している。

(筋肉モリモリで声が良くてダンディ…これは…)

改めて自分の好みである事を認識すると、私は片平さんを直視できなくなった。
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