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愛蜜花 〜優しいSとMの関係〜
第2章 2
『良ければどうぞ』

と、箸とおしぼりを手渡される。
ペコリと頭を下げて、軽くお礼を伝えると箸とおしぼりを受け止る。

…なんだか、場馴れした人だな。

それが、その紳士への第一印象だった。
そんな人間観察を他所に、その紳士はお皿に盛られた料理に箸を伸ばし、パクっと口に入れた。

『あ、美味しい』

モグモグと口にいれて飲み込むと、その紳士は『良かったら食べてみてよ。なかなか美味しいよ』と、笑顔を向けた。
流石に、何度も勧めてくれるのに、ここで箸をつけないのも失礼かと思い、

『あ、じゃあ。』

と、箸を進めた。

『本当だ。美味しい。』

フリーフードって聞いてたから、正直大した料理ではないと高を括ってた。
予想外に美味しいその料理を、少しずつ口に運んだ。

『で、ちょっと聞いて良いかな?』

と、控えめに紳士が口を開く。
目線を紳士に向けて首を少し傾けると、その紳士が話を続けた。

『これは、なんの集まりだろうか?』

プッ…
つい、笑ってしまった。
ポリポリと頬を掻く仕草をしている。
…けれど、正直こっちが聞きたい。
彼も、私と一緒で人数合わせなのだろうか?

私が笑っているのを見ると、彼もロックグラスに入ったドリンクを口に運んだ。
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