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梨果サイドストーリー
第2章 手に入れた非日常
おじさんに家の近くまで送ってもらって帰宅すると19:00を回っていた。
両親には嘘をついてしまって心が痛んだけど、部活帰りと偽って帰宅する時間としては1時間も遅くなってしまった。

「ただいま。」

玄関には何やらたくさんのダンボール箱が置いてあった。

リビングで母が夕飯の支度をしていたけど「おかえり。遅かったね。」程度で済んでほっとした。
なんで遅かったかなんて訊ねられたら“しどろもどろ”になるのは必定だから。

母との会話もそこそこに早く二階の自室に行きたかった。
何しろただでさえ透けやすい制服のブラウスと短いスカートなのにブラとパンツを着けていないというね。
そう。おじさんの為に買った下着はおじさんの家に置いて来ちゃった。トラブルがあったというのもあるけど、次に会うキッカケになるしね…。

でもこんな格好で外を歩いてきたんだから、先週までのベストとスパッツが必需品だったあの頃が我ながら嘘みたい。

階段で二階まで上がると三階のアトリエから父が降りてきた。

「おかえり。」

「…ただいま。」

「ちょうどよかった。届いた荷物をアトリエまで運ぶのを手伝ってくれないか。」

父とは先週の絵画教室での一件以来、顔を合わせるのが気まずかった。
何しろ父は明らかに私の裸を見て“ぼっき”していたもの…。
正直嫌悪感すらあった。

「えっ?!今?」

「ああ、何かあるのか?」

「いや…別に。」

父も何となく口数が減っていた。
おかげで帰りが遅い事にも触れられずに済んだけど。
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