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僕の麗子さん
第1章 プロローグ
ちょっと僕には買えそうにない品物だと思った。
そんな事を思っていると、店員らしきひとりの女性が僕の側に来た。
その女性の顔はとても小さく色白で目鼻立ちはハッキリとしていて、身体はほっそりとしていた。
服装は黒のチェックのジャケットに黒いミニスカートで足元はパンプスだった。
歳の頃は、30代だろうか。
僕の母、亜希子は38歳だ。
亜希子とそんなに年齢は違わないように感じた。
だが、亜希子とは明らかに違う点があった。
その女性は少女の様な面影があったのだ。
僕はその女性の姿にくぎ付けになった。
その女性が話しかけてくる。
「こちらのクロスネックレスがお気に入りかしら?」
僕はそれに答えることが出来なかった。
何故なら、それを買うお金を持っていなかったのだから。
「このクロスは1点ものなのよ…」
そう、その女性は言ってきた。
僕の心臓はこの時ドキドキしていた。
「いえ、僕はこのネックレスは欲しいけど買う事はできません…」
「あら、そうなの?」
「はい、僕これを買うお金持ってないんです…」
「そうなの…」
その女性は優しくそう言ってくれた。