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僕の麗子さん
第8章 発覚
そこには、椅子に深く腰掛けてうな垂れている麗子さんがいた。
僕は、麗子さんのところにフラフラになりながら近寄った。
その姿を聡はまた見ていたのだ。
「麗子さん、僕と一緒に行こうよ…」
「ダメよ、領くん、私行けないわ…」
「どうして?僕を愛してないの?」
「違うわ、そうじゃないの、怖いのよ…」
「何が怖いの?」
「途中の駅で降りるのが怖いのよ…」
僕は雷雨の中、僕の父の事務所で麗子さんと話をした時の事を思い出していた。
麗子さんは途中で降りた駅が知らない場所で怖くなったのだ。
麗子さんにとって、僕は真っ白な知らない場所なのだとその時思った。
僕は、麗子さんにとって、一体なんだったのだろう。
そう、その時感じた。
僕は、麗子さんを残すと控室を出て行った。
外に出ると夕暮れが僕を待っていた。