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待ち合わせは 初めてキスをした処
第2章 7週間
神主の指示に従い 寺田と進藤はブルーシートを張った
四隅に穴を掘り竹が埋められ 藁縄が張られ
依り代が下げられて ブルーシートの上に
茣蓙が広げられた
日曜日
啓子の両親が見守る中 詩穂が赤い袴に白装束で桜の木の前に立ち
校長も 後ろで見守っていた
千鶴も沙也も 詩穂を見つめ
詩穂が 厳かに立ち上がり
開いた扇子を顔の横に預け歩き始めた
長い髪を後ろで纏め白い紙が 髪を覆い
詩穂は
四方を竹で囲われ 細い藁縄に 依り代をが下がる前で
履物を 静かに脱ぎ 歩き始めた
中央で 静かに扇子を閉じ両手で捧げ
静かに 静かに 深く礼をすると
扇子を開き舞い始め 母親は携帯で その姿を映していた
白装束に紅い袴の詩穂の舞が続く
時折 白い光が 詩穂の体を覆うように輝き
頭上を金色の光りが白い輝きが乱舞するのを
恵美は黙って見つめていた
静かに 雅楽の音と男性の声が流れ
詩穂は静かに扇を閉じ 鈴に持ち替え舞を続ける
詩穂の舞は続き 校庭の静寂の中 鈴の音が時折
詩穂の腕の先から零れ
詩穂の舞が終り 扇で顔を隠し
竹で囲われた処から出た時 詩穂が目を開け
「お母さん 私・・・」 母親を見つめ
「 詩穂 綺麗な舞だったわよ 」
母親の言葉に 驚いたように目を見開いた
「私、 歩いて・・・・」
「中央まで歩いたの、覚えてる・・」
「 お姉さんに 見てください 心で祈っていたの・・」
「桜の木に お願いして・・・ 後・・判らない・・・」
放心した目で 母親を見た