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待ち合わせは 初めてキスをした処
第4章 啓介

その日 

九州地方を通過する 台風は非常に大型で 
優月の父親は 消防団の一員で
川の監視と 避難を皆で行っていた 

優月の家は高台に位置しており 父親は出かける時に
戸締りだけはと 言い残し出かけていった 
夕方から強い雨と風そして雷 建物が揺れ 
芳美は 子供達を寝かせ 茶の間で夫の無事をと 
その時チャイムが鳴り 玄関を強く叩く音が聞こえ
出て見ると 玄関に人影が 

田中さん 田中さん 強く叩いて来た

玄関に降り ドアを開けると 隣の矢部が 
消防団の服を着て 入って来た
芳美は 思わず 茂雄に何か有ったのかと 
矢部を見た時 思わず後ずさってしまった
矢部の目に 狂気が走り 
舐める様に芳美を見ながら後ろ手で ドアにカギを掛けた

啓介さん何か? 怯えながら聞くと

「子供達 生きてて欲しいか?・・・」
呟くように言った

「何 馬鹿な事言ってるの 当たり前でしょう」 

「 それなら 今夜一晩 俺の言う事聞くんだな 」 
狂気の目で芳美を見つめて来る
手に鎌をもち それを顔の前に翳した

「啓介さん 何? どうしたの? 冗談は止めてよ」 
怯えながら後ずさりして 子供達の部屋の前で
立ちすくんだ 

強い雨風の音の中 雷が光り 
啓介の鎌を持ったままの 姿が浮かび上がり
立ちすくんでいる 芳美の前で立ち止まり 
無言で腹に 拳を打ち込んで来た
芳美の息が止まり 思わず蹲って 啓介を見上げた

「良いよ 今から ガキ達の首 これで・・・」 
子供達の部屋の ドアに手を掛けた
芳美は 啓介の足にしがみ付き

「子供達に 手を出さないで 言う事聞くからお願い」 
嗚咽を上げ 足にしがみ付いた
啓介は にやりと笑い

「初めから 素直に言ってれば良い物を ほれ 寝室へ案内しろや」 
鎌を芳美の顔の前に翳した
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