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とある家族の裏事情
第2章 裏事情 〜長男の事情〜
れんと会えない日が続いていた
真面目にテスト勉強しているし
今までの積み重ねも有るからか
過去問を使ったテストの
採点は満足のいく点数が取れた
意気揚々と
塾を後にして帰路につく
れんと初めて会ったコンビニの
横を通り過ぎようとした時だった
「おにーさんっ、1人ぃー?」
よく知った声に振り返ると
そこには、れんが立っていた
「よっ!おひさ!!」
「久しぶりだね、どしたの?」
久しぶりに、れんに会えた嬉しさで
声が弾んでしまう
「あのさ……少し話さない……?」
今日は家に親が居るから
と、言われて
コンビニから少し歩いた場所の
公園のベンチに腰かけた
笑いあいながら少し雑談する
こんな公共の場所だ
れんに襲いかかる事も出来ない
冷静に伝えるなら……今なのか……
翔太の頭はぐるぐると
考え過ぎて冷静さを欠いていた
「あのさ、翔太……」
という、れんの言葉は
翔太に届かず遮ってしまった
「れんっ!!!聞いてほしい……!!!」
「うぉっ、びっくりした…
大きい声出して、どしたの?」
いつもの冷静な翔太からは
想像出来ないくらい顔を赤くさせて
翔太は続けた
「今までさ、色々有ったけどっ…
れんが嫌がってる時とか………
有ったかもしれないけど………っ」
「俺、れんが好きだ………
すごい大事にしたいし
これからも、ずっと一緒にいたい…」
翔太は真っ直ぐ、れんを見つめた
一瞬の静寂ののち
れんの瞳から涙が溢れ出す
「ごっ、ごめん……?
嫌だった?」
まさかの展開に翔太は焦り
持っていたバッグを開けハンカチを探す
焦る翔太の頬を、れんの手が
優しく包む
自分の方に顔を向けさせて
チュッと、軽いキスをした
「あたしも…翔太が大好きっ…」
あまりの嬉しさに
そのまま強く
れんを抱きしめた
見つめ合ってキスをする
お互いの唾液を交換するかのような
深いキスから軽いキスまで
時間を忘れる程、れんの唇を貪った
想いが通じ合うとキスだけで
こんなに幸せな気持ちになれるのか…
どこか遠くで、救急車のサイレンが
鳴り響いていた……