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とある家族の裏事情
第2章 裏事情 〜長男の事情〜
実力テストが終わった
自己採点を、した限りでは
かなり上位が見込めそうな点数だ
この結果なら、きっと父親も
褒めてくれるだろう
この嬉しい気持ちを
今すぐ、れんに伝えたい…!!
逸る気持ちを抑えて、れんに
メールした
" 今すぐ会いたい!! "
れんからの返事は無い……
仕方ない……
ずっと会えてなかったのだ
彼女にも都合が有る……
その日は真っ直ぐ家に帰った
れんにメールを送ってから
1週間が経過していた
その間にも何通か送ったが
全てに返事は無い……
流石に、おかしい………
もしかしたら、何か有ったのかもしれない
翔太は学校から帰ると急いで
れんの家に向かった
れんの家のチャイムを鳴らす
出ない……
中に人の気配もしない…
もう一度………
もう一度…………
続けて鳴らし続けた時だった
ガチャっと
隣の部屋のドアが開いた
隣の部屋からは少し
くたびれたスーツを着た男が出てきて
家のドアを閉めようと鍵を出す
鍵を手に持ちながら
ジロリと、こちらを見て
溜息をつき
「佐々木さんなら
もう引っ越して居ないよ」
そう言うと
階段に向かって歩き出した
翔太は急いで男の前に
立ちはだかる
「すいませんっ……!!
どこに行ったか聞いてませんか⁉」
「知らないよ…
急に居なくなったらしいけど」
男は翔太の横をすり抜けて
階段を降りて行った
翔太は、どうする事も出来ずに
その場から動く事が出来なかった…
れんが居なくなってからは
勉強に没頭した
心にポッカリと
穴が空いたような感覚は
何をすれば埋まるのか
わからなかった
勉強に没頭した事も幸いしたのか
翔太は難関の進学校の高校に合格し
高校生になっていた
高校生になると中学生の時よりも
身長も伸び大人びた顔つきへと
変わっていった
そんな翔太を周りの人間が
放っておくハズもなく
女子からの告白は日常となっていた
告白されて、別に好きでもないけど
付き合ってみる
何か違う…と思えば、別れる
別れる時は恨まれないように
相手が振ってくれるように仕向けた