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とある家族の裏事情
第2章 裏事情 〜長男の事情〜
「もっと、まともな奴と
付き合った方が良いよ…」
貼り付けた仮面なような
笑顔で、らんの方を見た瞬間
パァンッッ!!!
という、弾けるような音が
室内に響き渡った
何が起こったのか一瞬、理解出来なかった
ただ、頬がヒリヒリして熱い
翔太の頬を平手打ちした手を
ギュッと強く握って、目に涙を
いっぱい溜めた、らんが叫んだ
「ふざけんなーーーあぁ!!
何で、そんな事で別れるとか
言うのよっ!!
こっちは、あんたを10年以上
好きだったんだよ!!
10年のガチ勢なめんなよっ!!
翔太に何されたって嫌いに
なれないし……ぐすっ
何だって受け入れる覚悟なんて
とっくの昔に出来てるんだから……!!
てか…··相談するのが
先でしょおぅ……うわああぁぁん…!!!」
翔太に思いの丈を、ぶつけて
らんは号泣した
子供の頃のように声を上げて
頬を平手打ちされたら
何だか自分の考えがバカバカしく
感じられてきた
翔太は思わず声を出して笑う
「あっ…はははっ……
ガチ勢って……ははっ………」
ひとしきり笑うと、らんに
どういう事なのか意味を
説明してもらった
同じ小学校に、中学の時は同じ塾
高校生の時は歴代彼女を
見られていたとか……
ベッドの上で冗談混じりに
土下座をして謝ってみせる
そして、らんを抱き寄せて
おでこにチュッとキスをした
「今更、信じてもらえない
かもしれないけど…………
世界一、愛してる…………」
らんは俯きながら「知ってる」
と、ポソっと答えた
翔太はサークルの部屋のソファーに
座り、先輩の残してくれた本を
開いたまま眠ってしまっていた
らんを待っていたのだが、暖かくて
眠気に誘われるまま目を瞑ってしまった
サークル部屋のドアを開けた
らんは眠っている翔太に気付き、
静かにドアを閉める
長い睫毛に、スッと通った形の良い鼻
綺麗な肌にプルプルの唇…
少し長めの髪の毛が、陽の光に
当たると金色に見える
寝顔を見ていると心臓が
「キュンっ」とした
何だか気持ちが抑えられずに
自分の髪の毛が、彼に当たらないよう
耳にかきあげながら軽くキスをする
次の瞬間、翔太の両手が
らんを強く抱きしめて
羽交い締めにされた