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とある家族の裏事情
第2章 裏事情 〜長男の事情〜
「ここに有る家具は前に
借りてた人が置いていった物なんだって」
翔太は、そう言うと来る途中で
買い込んだ食材を冷蔵庫へ
手際よく収納していく
「次、借りる人が見つかったら
全部処分するから好きに使っていいって
ちゃんと、ベッドとか
タオルとか有るから大丈夫だよ」
「門の時も思ったけど、何で
そんなに詳しいの……?」
らんちゃんと来たら、すぐに
住めるように友達と下見に来て、
タオルとか必要な物は買って
おいたから
と、爽やかな笑顔を向けてきた
うちの彼氏出来過ぎだわー…と、
らんは一瞬、気が遠くなった
翔太は、
2人が行きたい場所リストを
作成してくれており、用意した地図に
印を付けておいてくれたので
前日の夜に2人で
「ここに行くなら、ここも寄れるよ」
「予定してなかったけど、
ここにも行ってしまおうか?」
と予定を決め、次の日は
予定に沿って出掛ける、という流れで
1週間ほど遊び倒した
らんは、その日
ウッドデッキにビーチチェアを
置いて持ってきた本を読んでいた
まだ、先は長いから3日くらい
家で、ゆっくりしようか…と
翔太がプールサイドから
持ってきてくれた
森から吹き抜ける爽やかな風が
心地よく頬をくすぐる
(幸せって、こういう事なんだろうなぁ…)
と、ウットリしていた
家で過ごす3日間も、
まるで新婚夫婦の
疑似体験をしているようで
すごく楽しかった
ずっと楽しくて忘れていたが
ここに来てから…
" 翔太と体を重ねていない "
彼も連日の運転で
疲れているんだろう……
深く考えるのは辞めて
そのまま、風に身を任せた
その日の夕食は翔太が作ってくれた
大した物は作れないんだけど…
という割に豪華な食事が
食卓に並べられている
「えっとね…
じゃが芋と茸のポタージュ
トマトと
モッツァレラチーズのサラダ
白身魚のポワレに
冷凍の魚介で作った
地中海風パスタ!!
デザートにティラミスも有るよ」
彼の、あまりの料理の腕前に
感嘆の息が漏れた
「らんちゃんも飲める
弱いお酒だから…」と
翔太は冷蔵庫で冷やしておいた
シャンパンを片手に、らんに
微笑んだ