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とある家族の裏事情
第3章 番外編 〜とある老夫婦の話し〜
私と頻繁に会わなくなったのを期に
彼と毎日のように避妊具無しで
励んでいたらしい……
小宮くんは
「僕が好きなのは光さんです!!
例え子供が出来なくたって、あなたを
大事にしたい気持ちは変わりません!!」
と、言われリラックスした気持ちで
励んでいたら何と妊娠したらしい……
医者に見てもらいながら付けていた
記録でも確認済みで、「私の子」の
可能性は皆無だそうだ……
「昭一さんは私の事を、
すごく大事にしてくれたから…·
離れられなくて……
言い出せなくて、ごめんなさい」
何とも言えない気持ちだが……
こればっかりは…
どうにも………
小宮君と、せっせと愛を育み
空いた時間に私と愛を語らう…
女性とは、したたかな生き物なのだな…
と、感じていた
オフィスに暖かい空気が流れて
そこら中で
「おめでとう!!」
「元気な子を産んでね!!」
という声が溢れている
光が寿退社する事になったのだ
花束やプレゼントを抱えた光が
オフィスを後にする
私は彼女を追いかけて
一緒のエレベーターに乗り込んだ
「外まで見送っても構わないかな?」
「ありがとうございます」
彼女は私に今までと変わらない
笑顔を向けてくれた
オフィスの外に出て少し歩き
駅が近付くと広場が見える
その広場で私は立ち止まると
彼女に少し分厚いご祝儀袋を
渡した
「贈り物をしたかったが
何を贈ったら良いか、わからなくてね」
「そんな…頂けません…」
彼女は本気で要らないという顔だが
「いや、受け取ってほしい…
これは、これからの君と子供のためにも
いくら有っても困らないものだ…
私の気持ちだと思って…頼むよ……」
「…それじゃぁ……」
遠慮がちに受け取る彼女に姿勢を正して…
「これまで本当に、ありがとう!!
幸せになってくれよ!!」
彼女は、涙で潤んだ瞳で
「こちらこそ…
長い事…お世話になりました…!!」
それはとても、綺麗なお辞儀だった……
光と別れ、仕事も落ち着き
時間に余裕も出来るようになると
家で過ごす事が増えた
妻も数年前から家で
過ごす時間を大事にしているようで
大学生になった息子と食事に行ったり
しているようだった