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とある家族の裏事情
第3章 番外編 〜とある老夫婦の話し〜

太一が就職して2年が経った
出張の多い仕事で
会社に近い方が便利だから
と言って息子は出て行った
妻と2人きりの生活にも慣れてきた頃
家に帰るとダイニングテーブルに
経済雑誌が3冊、置かれていた
"ビジネスコーディネーター ○月号"
台所で料理をする妻に
「なんで、同じ雑誌が3冊も有るんだ?」
と、聞くと
「1冊は読む用、1冊は保存用、もう1冊は
切り抜いてアルバムに入れるの」
「まるで、アイドルファンの
ような事を言うんだなぁ…
かっこいい俳優さんでも載ってるのかい?」
「ふふふ…
すごく、かっこいい人が載ってるの
付箋が付いてるページを読んでみて」
ネクタイを解きながら
やれやれ…、と雑誌を開くと
そこに写っているのは太一だった
「太一から雑誌に載るとは聞いていたけど
あなたを驚かせようと思って……」
妻が、いたずらっ子のような顔で
こちらを見てくるが私は慌てて椅子に
座り雑誌を読む
前に話していた先輩(社長)と2人で
ソファーに座っている息子が、
そこには写っていた…-
どうやらインタビュー記事のようで
2人の会話が、書かれている
片岡君は、会社のエンジン
彼無くして、ここまで進む事は
出来なかったでしょうね…
息子への最大級の褒め言葉に
目頭が熱くなるのを感じた……
太一は私が受け継げなかった
父の "先見の明" を
継いだのかもしれないな…
と、感慨深くなりながら目頭を押さえた…
それから、しばらく経ったある日、
息子から連絡が来た……
「子供が出来たから結婚します」
私と妻は突然の事に少しパニックに、
なっていたかもしれない
「相手の親御さんには、もう会ったのか?
結婚式は、どうするんだ?
あぁ、その前に顔合わせか…えぇと…」
「父さん、落ち着いて
向こうの親御さんには
報告済みで、喜んでくれたよ
結婚式とか顔合わせとかは
もう計画してあるから大丈夫だよ」
そう言うと、妻の携帯に
まるで仕事の予定表か?と思える程に
しっかり作られた予定表が届いた

