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とある家族の裏事情
第6章 裏事情 〜妻と夫の事情 1 〜

私と彼が初めて出会ったのは、
私が小学生で彼は中学生の時だった

元々、内気な性格で引っ込み思案
だった私にも彼は優しくしてくれた





私の母は「夜の蝶」と言われる職業で
数軒の「クラブ」を経営する
やり手経営者だった

小学生の私が母に会えるのは
母が早く帰宅すれば朝と
私が学校から帰宅した
数時間だけ……
お金には困らなかったが
私は愛に飢えていたのかもしれない…













その日は学校の友達と喧嘩して
謝ろうと決意した時には、
彼女は帰った後だった
心にモヤモヤとした
気持ちを持ったまま帰路につく

家に帰ると母は、いつも通り
化粧台に向かって化粧をしていた


母は最初、洋装だった記憶が有るが
いつの間にか着物を着るように
なっていた
「着物なんて、ほとんど着た事なかったから
1人で着られるようになるために
随分、練習した」と聞いた事がある


「ママ、ただいま…」

「お帰りっ」


母は、いつも通りの優しい笑顔で
迎えてくれる

母が化粧をしている横で
ランドセルを下ろして今日あった
出来事や学校のお知らせを話す




母の支度が終わった
何だか離れがたくてマンションの
外まで見送る…
母は、私の方を向いてしゃがむと
頭をポンポンッと撫でてくれた

「ママ、舞花のためにも
頑張ってくるからね!!」

「…うん…無理しないでね……!!」


母の決意に満ちた瞳に
「さみしくて離れたくない」なんて
言えなかった………


母の姿が遠ざかっていく……

目に涙が溢れてくる……

母の姿は、もう見えなくなった……

「ママ…行っちゃ…やだ……」


今日は、なんだかモヤモヤした
気持ちなの
一緒にご飯を食べて話しを
聞いて…
さみしいから一緒の、お布団で
寝てもいい?


「うぐっ…ひっぐ…ゔぅ…ママ…
ママぁ…ひっく…ざみじぃよぉ……···」
















部屋に戻ろうと動き出した時だった



「どうしたの?大丈夫?」



その、男の子は凄く綺麗な顔立ちを
していて少し茶色っぽい髪の毛に、
色素の薄い瞳がキラキラしてたのを
覚えてる…


「君、うちの隣に越してきた子だよね?
大丈夫?どこか痛いの?」

「痛くない…大丈夫……」


「じゃあ、一緒に戻ろう」と部屋まで
送ってくれた
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