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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ



 翌日、旅館に戻った明咲のスマートフォンに、佐和子からLINEが入っていた。

 今日も周辺を散策していた明咲達は、雇い主の目に触れていたらしい。

 旅先で見かけた気がする、もしかして◯◯旅館に泊まっているのか。

 偽って、のちに厄介なことになっても面倒だ。ありのまま返信すると、ややあって、またLINEの通知が鳴った。


「小川ちゃん。社長が同じ旅館に来ているみたい。退屈で話し相手が必要みたいだから、ごめん、お風呂は先に行ってくれる?」


 分かった、と短く頷いた佳歩は、新規イベントが始まったばかりだというゲームアプリに集中していた。この様子なら、明咲がしばらく戻らなくても平気だろう。





 佐和子は、明咲達の二階上にチェックインしていた。指定の部屋番号を確認してチャイムを鳴らすと、やや着崩れた浴衣姿の彼女が出てきた。


「秘書には、接待まで自由にしてもらっているの。気心知れた業界関係の人達との交流会があって、よく似た美人を二人も見かけた時は、驚いたわ」

「こんな偶然、あるんですね。交流会には、その格好で?」

「ああ、……どうせ皆さん、温泉でお化粧も落ちているでしょうから」


 すました顔で腰を下ろしながら、腰紐だけは締め直した佐和子。宮田とも久し振りに商談しただの、三階はほとんど知人達が宿泊しているだの、彼女の雑談の節々から、広い交友関係が窺える。
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