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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ
「昔の明咲は、声もすごく格好良かったよね。今も出来るの?」
「抄さんに、少し特訓受けただけです……」
「誰にでも務まることじゃないわ。髪、また短くしてよ」
手のひらほどの大きさのリボンを留めた明咲の髪に指を通して、佐和子が毛先を滑らせた。冗談だけど、と彼女が笑った。
「この髪切ったら、亜純が私に恨みを持つわ。服だけ、着て」
「今ですか?」
洋服は、宮田が佐和子に渡したらしい。元の持ち主は、やはり彼の愛人だろう。
四年前のように愛して欲しい。
そう言って、佐和子が洋服の塊から数着を選び取っていく。
明咲は、二度と袖を通す機会もなかったようなシャツとズボンを着用した。螺旋に巻いた茶髪からリボンバレッタを外して、なるべく短髪に見えるよう結うと、下着だけになった時とは違う身軽さに、一抹の心細さを覚えた。
「それはそれでありね。お化粧の効果か、昔より中性的で……綺麗」
綺麗な女が、素顔を化粧で塗り固めた女を綺麗と評価している状況は、滑稽だ。
受け答え方を思いつかないでいると、彼女が明咲に触れてきた。片手を握って腕を撫でて、肩を抱いて腹を撫でる。語彙力豊富な賛辞を次々と生み出す唇が、明咲の唇を塞いだ。