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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ
佳歩は、滞在している客室から二つ上階の廊下に出た。
スマートフォンに集中していた最中も、明咲の言葉を聞き流していたはずがない。あの美しい代表取締役は複数の知人同士で宿泊しているらしく、通りすがりの仲居を呼び止めてみたところ、佳歩もそのメンバーだと勘違いした彼女は、すんなり部屋を教えてくれた。
ゲームアプリの新規イベントは、さんざんだった。期間限定キャラクターのガチャ結果が思わしくなかった佳歩は、社員として雇用主に挨拶しておかねばという名目を立ててでも、明咲の顔を一刻も早く見なければ、落ちた気分を上げられない。妹に泣き言をLINEしても、彼女が熱心に話を聞くのは、コスメや美容に関することだけだ。
仲居から聞き出した番号のかかった扉の前に足を止めて、チャイムを鳴らす。反応はない。だが明咲が訪ねている以上、留守とは考え難い。時間を置いて、もう一度チャイムを鳴らした。
「…………」
「あァァ……っ」
「…──?!」
どこからか女の鳴き声がした。
佳歩は、辺りを見回す。
いかがわしい動画サイトでしか聴いたことのない声だった。どこかの宿泊客が観ているのか、それとも、現実に淫らな行為をしているのか。…………