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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ
* * * * * *
佐和子が幹事を務めている交流会に、欠員が出た。
急遽、明咲は補欠を引き受けて、佳歩にその旨を連絡した。
何もなければ、彼女とは近隣の飲食店での夕餉を予定していた。電話口に聞こえたとんでもなく沈んだ声が、明咲の胸を痛ませた。
佐和子がメンズ服を持ち合わせていたのは、宮田に会ったその足で、町を離れたからだという。浴衣や夜会服まで余分はなく、明咲は昼間の洋服に着替え直すと、彼女と宴会場へ向かった。
土地の名産を贅沢に使った料理の数々、食前酒と先付けに続いて、目でも舌でも楽しめるコースメニューが、次々と運ばれてくる。コの字型に並んだ食卓に着いた女達は、佐和子に引けをとらない容姿に加えて、肩書きも、常務から代表取締役が多くを占める。秘書や付き人として参席している女達も、気宇壮大で機知に富んだ会話に興じる主人達にとけ込んでいた。
屡々、明咲は立席して、佐和子の友人達に酒を注いだ。秘書達の多くは早々に酔って、女将も広間と厨房を行き来している中、酌の人手が不足していた。
「明咲ちゃんは、事務なの?古賀さんと仲が良さそうだったから、新しい秘書の方かと……」
「今春からお世話になっています」
「ふぅん?言われてみると、いかにも一年目といった感じね。初々しくて可愛いわ」
からからと笑って明咲の片手に手のひらを重ねてきたのは、泰村(やすむら)という名の不動産経営者だ。同業でありながら懇ろで、今夜も相部屋でチェックインしているという布川(ふかわ)という実業家も、ぱっちりとした目を急な飛び入り参加者に向けていた。