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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ


 会話がひと区切りついて腰を上げると、布川が明咲の腕を掴んだ。


「待って待って、明咲ちゃん。お近付きのしるしに、良いことしよー?」

「えっ?!」


 布川が明咲を腕に抱いた。彼女の指先が明咲のおとがいを捕まえて、唇が迫る。


「布川さんってば、もう酔ってる。明咲ちゃん、ごめんね?彼女、酔うと人懐っこくなるの」


 泰村は、今しがた注いだ酒を仰いでいた。


 人懐っこい、の程度ではない。


「んっ……?!」


 明咲に唇を押しつけた布川は、角度を変えて、味わうようなキスを続ける。片手で明咲の太ももを撫でて、顎を支えていた指が、頬や鎖骨を彷徨い出す。明咲は、とうとう彼女の舌まで口内に迎え入れた。


「待っ……布川さ──…んっ、ぅンッ……」


 唾液をなすりつけながら、布川は、明咲が応じざるを得なくなるようし向けるように舌を動かして、スカートの奥へ愛撫を進入させていく。


「ひぁ……ん、ぅ、……ンンっ……」


 華やかな女達の歓談に、夕餉の席らしからぬ淫らな音が割り入る。

 ちゅぷちゅぷと鳴る舌と舌のまぐわいが、近くの席のエリート達の視線を誘うまでには、時間の問題だった。


「なんて楽しそうなことをしているの……?!」


 佐和子を挟んで又隣にいた秘書と話していたはずの彼女の声が、明咲の肩を跳ね上がらせた。

 じゃれ合っていた舌が離れる。布川が唇の端を拭いもしないで、昔の佐和子ほどの長さの黒髪を耳にかけて、目を細めた。
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