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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活
「久美子さんの同期さん、◯◯さんのご友人なんですか?」
「歳は、二つ上だけれど。一緒に働いてみて、どう?まさか亜純さんにまで、横暴な態度じゃないでしょうね?」
「ええっと、部長の人使いは荒いです。けど、その分、残業まで亜純さんとご一緒出来て、嫌なことばかりではないです」
「そういう考え方もあるよねぇ。残業するほど亜純さんを見つめていられる時間が延びるなんて夢があるわ」
「私も、りなちゃん達のところに異動させてもらいたくなってきた。でも、同じ空間に亜純さんがいるということよね?心臓がもたない!」
ランチ会のメンバーが、もしもの話で盛り上がる。
恋愛感情には満たない、それでいて平行線にあるとも言える彼女らの亜純への情熱が、りなには甘やかな清水のように見える。
ここに集ったメンバーは、元バンドギャル達だ。りなが転職してくるより以前から、久美子が集めてきた彼女らは、曲がりなりにも「ドーリィナイトメア」──…特に亜純の非公式ファンクラブを自称している。この団体があったお陰で、りなは早い内から社内に気心知れた友人が出来た。
実のところ一年前、りなは二度目の挫折に直面した。上司はまともに仕事を教えもしないで、新参者に無理難題や激務を押しつけたし、あと数日、亜純が有休から戻ってくるのが遅ければ、転職早々、また相談所へ足を向けていただろう。
少し厳しいだけの職場。
そう割りきって、今では亜純に出逢えた会社ごと、りなは崇拝して出来る限り貢献している。
亜純の素顔は、すぐに知った。恋愛している気配は微塵もなかった彼女が、性には奔放であるのを知っても、却ってりなにはしっくりきた。