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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活
ほどなくして、一人の社員が亜純に雑用を言いつけた。コーヒーを所望した彼女を上司は睨んだが、当人は他の社員らの注文も聞いて、亜純に小銭を預けてきた。
外の空気でも吸ってこい、ということか。
容姿で同情を引けているとは思いたくないが、亜純が上司に怒鳴られると、一部の社員らはやたら気遣ってくる。
自動販売機まで来ると、亜純はLINEの画面を開いた。
“夜、空いてる?"
明咲と佐和子に同じ一言を送った。
先に返信の付いた方と、おかしくなるほど淫らなことがしたい。
昼間も同じ敷地内にいる彼女らのことだ、今一緒にいる可能性も頭の隅に置きながら、使いを済ませて元来た経路を引き返した。
「ご苦労。次は、このリストにメールしろ。用件はこっちに書いてあるから、返事が揃ったら予算の見込みまで出して、俺のアドレスに送れ」
昼間の件を終えた亜純に、例の上司はその確認を済ませるや、新たな書類を出してきた。
「期限は?」
「これくらい今日中に出来るだろう」
「会議があったり、担当者が出張されていたりする先方もありますが……」
「返事がなければ、話の通じる人間に連絡しろ。こっちも経理から急かされている、それくらい察しろ」
「あの、◯◯さん……」
林という名の社員が割り入ってきた。上司は亜純に今の書類を押しつけてると、彼女の用を聞き始めた。
亜純は、デスクに戻ってメールを開く。上司のがなり声が響いた。林の書類に不備が見付かったようで、謝罪で通用すると思うなだの給料泥棒だの、上司が彼女を怒鳴りつけている。