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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活
「面識もない人に協力なんて……」
「明咲のお義父さんになる人よ。父娘にさえなれば全額、ううん、何倍にもなって返るじゃない」
「戸籍はそうなるだろうけど、新婚のお母さん達の邪魔になるわけにはいかないよ」
「じゃあお金だけ!お願い!」
綺美果は、明咲が恋人を作りたがらない背景も推測していた。
かつて売春で返済や進学費用を賄った娘は、その人物とは今も繋がっていて、どこかにあぶく銭がある。
それで暮らし向きが良く、見るからに余裕のある身なりが出来て、無償で他人に与える愛など持ち合わせないのだろうという。
「明咲を援助した相手って、古賀さんでしょ?」
「佐和子さんとは偶然再会──…あ、社長とは、……」
「やっぱりそうなんだ。そんな風に呼び合う仲、か。さすが私の娘。なら古賀さんに相談すれば、何とかなるんじゃないかな」
無意識を悔いた時には遅かった。
明咲と佐和子の関係を確信した綺美果は、母親を気取るのもやめて、必死に要求を主張し出した。
佐和子は、自身の道楽や快楽のための金には糸目をつけない。綺美果の指図に従って、本当に明咲が媚びたとすれば、彼女は自身の矜持のためにも財布の紐をゆるめるかも知れない。