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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活

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 むんと甘い匂いと湿り気の記憶の立ち込めた夜が明けて、当然、りなはその足で出社した。

 亜純は、どうせ誰の目から見ても朝帰りと分かるのだからと言いながら、りなが普段袖を通しているより何段階も大袈裟に装飾の付いた洋服を出してきた。
 クールビューティーで定評のある亜純の私服は、社員らの想像を裏切らない。そんな彼女のクローゼットから、人形めいた白のブラウスと花柄のジャンパースカートが出てきたのは目を疑ったが、持ち主に許可は得たと付け加えた彼女の言葉から、昨日会い損ねた友人のものだと理解した。

 快楽の共有者であるというどこぞの女を、亜純は、本当に友人以上に思っていないのか。

 考えても仕方がない。

 ひらひらとフリルが踊る短いスカート、ファスナーを閉める先には上がりきるか気が気でなくなったくらい細身のジャンパースカートを脱いで、会社規定のスーツに着替えたりなは、午前の業務をこなしたあと、例の会合に顔を出した。


「りなちゃん、今朝、見たわよぉ。可愛い格好していたじゃない!峰積さんと一緒にお出ましなんて、部署が同じ特権よね。気合い入るのも分かる……!」

「亜純様もお洒落よね。当たり前っちゃ当たり前だけど、美しくない時がなくて、夕方になっても疲れ顔をお見せにならない」

「峰積さんの場合、疲れ顔がまた憂いなのよ……雰囲気出るのよ」

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