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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活
亜純に心酔している一同は、毎度、同じ話題を往来している。
昨年まで、りなも亜純を想う時、空想が多くを占めていた。彼女の行方も知らないで、りなには「ドーリィナイトメア」の記憶しかなかった。
「結婚で抜けた彼女のことは、誰より亜純ちゃん達がショックだったでしょう。でもそれで終わりなんてもったいないわ、活動再開はないのかしら」
「この会社に転職したのがねぇ……ブラックだし……」
「感心なのが、オーラが消えていないところ。むしろ磨きがかかっていて」
「未だ近寄り難いよね。りなちゃん、まさか亜純様の転生バンドを知っていたりして?」
業務の合間に私語をしただけで目をつけられた部下の存在が浮上したことのあるくらいには、しかめつらしい見た目の久美子が、日頃の声とは似ても似つかない夢見がちな言葉つきで、りなに話を振ってきた。彼女とて多くの望みは持っていないにしても、かつて亜純達を追いかけるために働いていたも同然のこのお局は、間近に見ると目鼻立ちも整っていて、怖いというよりもっぱら美人だ。
「私は、何も聞いていません。あの人が部長の内は、難しそう……」
「ママ活でもされていたりして。いくら給料が良いと言っても、あんなにメンテは出来ないわー」
「ママ活?!」