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ママ活
第5章 社畜と推し活とママ活
メンバーの一人の発想に、りなは面食らいそうになった。
亜純の貞操観念だけは、この場の誰より理解している。それでも、りなにとってママ活やらパパ活やらは、あまりに禁断めいている。
だが、久美子達とのランチ会は、空想を楽しむための場だ。
「それならそれで、ご縁を持てた女性が羨ましいです。私だって、亜純さん相手なら、ママになりたい」
「りなちゃんの場合、妹でしょ」
ゆるんだ顔をいっそうゆるめた久美子達が笑った。
彼女達は善良だ──…。
りなは亜純と、久美子らの想像も及ぶまいひとときを共有している。
肌を這った彼女の唇や指、髪のくすぐったさが、未だ腰の奥を疼かせている。健全な美と熱情のこもった声が、みだりがましい吐息を生んで、りなの淫らな部分をからかったり愛でたりした時間に溺れた。以前、電話越しに喘ぎ声を聴いた女は、きっともっと彼女に染まっているのだろう。
それでもりなに、久美子らを欺いている自覚はない。
彼女らにとって、亜純が純真無垢な元歌姫であるのと同じで、りなも理想を演じているだけだ。理想を演じて、同じ星に焦がれるだけの年少者を気取っている。
第5章 推し活と社畜とママ活──完──