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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
綺美果と再会した翌週、午前の業務がひと段落つこうとしていた明咲の近くで、年長の社員らがある話題で盛り上がっていた。
最近、食堂に新たな従業員が加わった。彼女の料理の腕前は、厨房担当でないのが惜しまれるほどで、彼女のお陰で食わず嫌いを克服した社員まで出た。また、ある社員は、余った食材でおまけとして一品振る舞ってもらって、故郷の味を思い出したという。加えて、容姿も気立ても文句のつけどころのないその従業員の評判は、右肩上がりだ。テイクアウトのサービスを始めて欲しい、と佐和子に直談判した社員も複数いるらしい。
「そんなにすごい人が入ったんだ。小川ちゃんは、会ったことある?」
「ううん。明咲ちゃんは、今日もお弁当?」
「今日は、外食しようと思ってた」
…──せっかく用意した食材、無駄にさせたわね。これでランチでも行って。
そう言って今朝、佐和子が明咲に握らせてきた金は、平均的な店なら一週間は通える桁だ。
例のごとく彼女は昨晩、自身の管轄下に住まわせている愛人を訪ねてくるや、マッサージをねだってきた。明咲は、親が子供に求める程度の技術でその要望に応じたが、肩も手脚も本当にほぐしたかったのか疑わしかった彼女は、じきにマッサージを不要とした。代わりに、風呂に入りたがった。
健康的な白肌を割れば、きっと美容成分が横溢する。そうした想像を巡らせて、水面の中で屈折しているあえかな肉体を盗み見ながら、一日のことをとりとめなく語り聞かせてきた彼女に相槌を打って、互いの身体をシャワーで流し終える頃には、彼女の手つきは無遠慮極まりなくなっていた。