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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
「お母様を助けるためじゃないわ。お金が必要そうだったから、次こそ貴女を巻き込まないで、自分で稼ぐよう提案したの」
「飲み屋にはちゃんと勤めていたのに……」
「そこで男に騙されているんじゃ、本末転倒。食堂なら悪質な客は来ないし、彼女もチヤホヤされていて、満更でもないみたい。更生するかもね」
佐和子の視線の先を追うと、今も、社員達が綺美果に群がっている。
昔から、綺美果は料理を極めていた。男の胃袋を掴むための努力だった。
初め、佐和子の誘いには消極的だったというが、恋人を家に連れ込んでいた時と同じくらいの表情で、今は業務に勤しんでいる。
…──だからと言って、彼女を許すのはまだ早い。
そう言い残して佐和子が立ち去ると、明咲はようやく手を合わせて、冷めかけた味噌汁に手をつけた。
懐かしい味だ。
明咲が同級生らに劣等感をいだくほどには、娘の身嗜みに無頓着の母親だったが、料理だけはどこの親とも張り合えるのではなかったか。厨房にはほとんど入っていないというが、炊飯から魚の焼き加減に至るまで、彼女の仕事が行き渡っているのが分かる。
「そうだ、明咲ちゃんに相談があったの」
とりとめない話題から、佳歩の口調が改まったのは、突然だった。
彼女は度々、妹を話題に出すことがある。その妹に関して、あることが気にかかっているらしい。