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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……







 佳歩の理想に美化された明咲は、きっといつか彼女の中でも素顔に戻る。

 その時、明咲以上に、彼女のショックが大きいだろう。そして妹まで辱めに遭っていたという恨みが、彼女の思いを満たすのだろう。


 手放しに慕ってくる彼女が愛おしく、それでなくても大切だ。

 この友情を手放したくなくなるほど、彼女の知らない事実を持つのが耐え難くなる。

 今日、ゆうは佐和子と会わない。さっき佐和子に、ゆうが佳歩の妹だったとLINEすると、驚愕した様子の返信が付いた。ただし、明咲ほどではなかった。あの快楽主義者は、代表取締役としての誠意はあっても、道徳には疎かだ。


 佳歩は妹達の追跡をやめて、通りすがりの売店で、期間限定のクレープに興味を示した。

 二人して同じものを頼んで、明咲は彼女がSNSに載せるための写真を加工していく工程を見学した。フリースペースのベンチに並んで、甘い昼食に癒やされたあと、明咲は話を本題に戻した。


「ゆうちゃんのこと、……」

「んぅー?」


 佳歩の芸術的な身体の線を引き立てているワンピースが、まとう空気まで華やげている。濡れた感じのツヤを浮かべた黒髪は、二つに分けてリボンが編み混んであって、アシンメトリーの襞を重ねたスカートとの相性も良い。フリルの肩口から覗いた二の腕は見とれるほど華奢で、昨今流行りの肩出しは、彼女のために発明されたのではないかとさえ思う。

 可愛いのは、彼女を飾るディテールではない。彼女自身だ。
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