この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
佳歩の理想に美化された明咲は、きっといつか彼女の中でも素顔に戻る。
その時、明咲以上に、彼女のショックが大きいだろう。そして妹まで辱めに遭っていたという恨みが、彼女の思いを満たすのだろう。
手放しに慕ってくる彼女が愛おしく、それでなくても大切だ。
この友情を手放したくなくなるほど、彼女の知らない事実を持つのが耐え難くなる。
今日、ゆうは佐和子と会わない。さっき佐和子に、ゆうが佳歩の妹だったとLINEすると、驚愕した様子の返信が付いた。ただし、明咲ほどではなかった。あの快楽主義者は、代表取締役としての誠意はあっても、道徳には疎かだ。
佳歩は妹達の追跡をやめて、通りすがりの売店で、期間限定のクレープに興味を示した。
二人して同じものを頼んで、明咲は彼女がSNSに載せるための写真を加工していく工程を見学した。フリースペースのベンチに並んで、甘い昼食に癒やされたあと、明咲は話を本題に戻した。
「ゆうちゃんのこと、……」
「んぅー?」
佳歩の芸術的な身体の線を引き立てているワンピースが、まとう空気まで華やげている。濡れた感じのツヤを浮かべた黒髪は、二つに分けてリボンが編み混んであって、アシンメトリーの襞を重ねたスカートとの相性も良い。フリルの肩口から覗いた二の腕は見とれるほど華奢で、昨今流行りの肩出しは、彼女のために発明されたのではないかとさえ思う。
可愛いのは、彼女を飾るディテールではない。彼女自身だ。