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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
明咲に近付けさえすれば、佳歩の望みは成就するはずだった。
初めは彼女をよく知らないで、見た目に惹かれた。
人伝に集めた情報は、どれも信憑性に欠けていたし、佳歩の周りに、彼女に近いタイプもいなかった。大恋愛の相手がいる噂もあれば、人との交流を避けているという話もあったし、裕福層の愛人だったと本人から聞いた学生もいた。
何が真実でも構わなかった。彼女について何も知らなかった佳歩は、何か知ることこそ当初の目的だったのかも知れない。
古賀佐和子の会社に入って、思い描いた通りになった。
と同時に、欲が出た。その欲は膨れるばかりで、ついに彼女を中心にして生きたいというところにまで至った。彼女のものになりたい、叶わなければ、彼女のためだけを思う友人でいたい。…………
欲は、佳歩自身では制御がきかなくなっていった。
明咲に聞かせる言葉など、もの分かりの良い友人を気取っただけのものばかりだ。
佳歩の本心は、もっと執念じみている。佐和子への嫉妬で煮えくり返っている。
「見損なってくれて良いよ。明咲ちゃんを友達になんて、見られない……友達として一緒にいれば、重荷や邪魔者にはならないで、何があっても仲良くいられる。そんな風に計算していたくらい、私はずるいの」
「有り難う、なんか……それって、小川ちゃんの青春台なしにしてない?私。そこまで思ってくれていたのに、あんな人間なんだ」
「そんなの関係ないってば!」
佳歩は、めいっぱいかぶりを振った。
ゆうが道を踏み外すのは許せないのに、それが明咲の行為であれば、不道徳とも見なせない。