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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
* * * * * *
佐和子は宮田と、昼間のホテルのラウンジにいた。
南に面した窓際は、街路樹を透かす木漏れ日が、体裁良く盛られた軽食の並ぶテーブルに、やんわり光を注いでいる。
ランチタイムの今の時間帯、店はほぼ満席だ。様々な客層が占めていて、そこかしこに漂う匂いが、適度に食欲を刺激する。
佐和子達は、オードブルをつまみながら、ワインボトルを開けていた。互いに味覚が異なるため、取り皿はほとんど未使用だ。隅に、今日の会合のための書類を広げていた。
「来月頭の週末と、四週目。午後十六時から十九時の三時間。会場は◯◯第一イベントスペースね」
「任せた。責任者は、村田さんと高科さんを頼めるか?」
「確認するわ。二人とも何もなかったはずよ」
佐和子は、指名の二人の名前を探して、LINEのトークルームを開く。明咲からスタンプが送られてきていたが、彼女との会話はひと段落ついていた。宮田の経営している店のイベント開催より、彼女とその友人との今後の方が、考えると頭が痛む。ゆうとは、潮時なのだろうか。
「浮かない顏だな。美少年にでも振られたか?」
「美少女の姉に訴訟されそうなの」
「マジか」
特に深刻にも思っていないのがよく分かる、宮田の口調。
顧客でも腐れ縁でもある同席者を無視して、佐和子は二人の社員に同じメッセージを送ると、グラスに残った紫色の液体を飲み干した。