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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
「万徳くんと付き合って、今で五年?よそ見もしないで、昔の貴方じゃ考えられない」
「愛の味を占めれば、よそ見なんか出来ないさ。第一、オレは抄に店を辞めさせた。あいつの稼ぎの補填くらいは、そういうのを抜きにしても、責任持つつもりだよ」
「私達、もう悪友じゃないのね。昔は、気に入るキャストがよく被っていた。私の方が先に口説いて、貴方は悔しがってばかりで」
「佐和子に勝てたのは、抄だけだ。まぁ、こういうのを勝負みたいに言うのもおかしいか。先もあとも関係ない、君は若い子を喜ばせるのが上手い。抄は、金やプレゼントより、相手を見るやつだったが」
「似た者同士だったのかな。宮田も、快楽より愛を選んだ。ものすごく歳の差なのは、さておき」
もっとも、宮田は万徳抄を特定のパートナーに選んだあとも、佐和子に恨みつらみを引きずっていた。
「何故、明咲を私に紹介したの?」
「君を異性愛者と勘違いしていたからだ。騙して、一度でも悔しがらせたかったんだよ」
「あんなに手の込んだことをして?私に悪戯するために、予算だって……」
もはや悪戯心ではなく、度の超えた友情と解釈出来る。何より、宮田は経営者として凄腕だ。彼が正気だったなら、違法でも明咲を雇った方が、よほど利益になっただろう。
宮田は、手前のつまみを口に運んだ。ワインを足して、急に腹でも空いた勢いで、近くの家族連れか四人組の女子達かを見遣りながら、牡蠣の燻製やハーブのチョリソーを咀嚼しては嚥下する。
「子供は、親を選べない」
つと、独り言にも聞こえる呟きが、宮田の口をこぼれ出た。