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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……







 明咲が佳歩を彼女の自宅へ送り届けて、駅へ引き返す頃、西陽は沈みきっていた。

 あれだけ濃密なひとときにいたのに、街は普段と変わらない。明咲が夢でも見ていたようだ。今から出かける大人達や部活帰りの学生も、まだ見かける時間帯だったのだ。


 休日特有の空気感が乗客をとりまく車内で、明咲がスマートフォンを開くと、佐和子からのLINEが入っていた。宮田と商談していた彼女は、近くに立ち寄っているらしい。



「佐和子さん……?」


 最寄駅の改札を出ると、今し方まで文字で話していた相手がそこにいた。佳歩に比べて化粧も薄く、ワイシャツにスラックスという出で立ちでも、佐和子はひと目で彼女と分かる。

 明咲が声をかけた途端、デートの待ち合わせ相手を迎えるような佐和子の顔が振り向いてきた。


「所帯じみた男の顔を見ていたら、疲れちゃった。明咲は良いわぁ、癒やされる」

「お友達にそんな言い方、ダメですよ。宮田さんは、佐和子さんを綺麗と思われてるかも知れないのに」

「あり得ないわ。万徳くんとは真逆タイプの私が……。貴女の裸を見ても勃たなかったんでしょう?」

「外でそういう誤解を招く話は、やめて下さい」


 もう彼の話題はやめましょう、と佐和子が明咲に腕を絡めた。

 柔軟剤にムスクを隠した感じのオードトワレが鼻を掠めた。甘く爽やかな佐和子の香りは、さっき別れてきた友人とはまるきり違う。
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