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ママ活
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……
「お母様、昼職で恋愛の他に楽しみが見つかると良いんだけれど……」
「佐和子さんや私に言えることでしょうか」
「こういうことを、しているから?」
明咲の指と指の隙間を佐和子のそれが埋めていく。
ただ組み繋いだだけの手から、いかがわしい思いの総身に広がっていく感覚が、明咲に迫る。この程度の戯れなら、映画館でも佳歩としていたのにだ。
恋愛か、快楽か。
どちらにのめり込んでも同じだ。他人への依存に変わりない。もとより自立が正しいかも分からない。
「佐和子さんの気持ちが、一番嬉しいです」
「えぇ?」
「お母さんに仕事を勧めてくれたの、私のためだと言って下さったじゃないですか。こういうの、錯覚でも愛されてるなって……」
佐和子にとって、明咲は所有物に過ぎない。こうした関係を受け入れそうになっているのは、感情のやりとりや対等な関係は望めなくても、彼女の容姿や人間としての器量、時折見られる思いやりに、惹かれているからだ。今のこの穏やかな時間でさえ、彼女からすれば金で買ったものだとしても、構わない。
「可愛い女子とデートして、ロマンチックな気分にでもなった?」
佐和子が笑った。そして、片手で器用にパウンドケーキを切り分けて、フォークに刺して、明咲の口元に近づけてきた。
洋梨の向こうで微笑む凄艶な顔に胸が高鳴るのを自覚しながら、初々しい恋人気分で、明咲はそれに食いついた。
第6章 自分を幸せに出来るのはママ?それとも……──完──