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ママ活
第7章 ママ活がガチ恋になるケース
今日だけで、こうした勧誘は何度目か。
ゆうは、こうも安心して人混みを歩けたのは久し振りらしく、快適だと喜んでいる。何せ女達が振り返るのも男達が声をかけるのも、佐和子ばかりだ。
「分かった!お姉さん、男性恐怖症?でしょーう!失礼しまっした、出直します」
佐和子が適当にあしらった末、今しがたの男達がようやく退散していった。
安堵したのも一瞬で、今度は明咲の間近から、またぞろ他人の声がした。
「そこのお姉さん、ちょっとちょっと?!」
また、佐和子だ。
休日出勤しているらしいスーツ姿の男三人は、明咲達など空気とでも見なした調子で、佐和子にアプローチを始めた。
今度は三十代前半だ。世代が上がるほど口説き方も節度があって大人しくなるが、何せ十組近くは続いている。佐和子にも疲弊の色が出始めて、それでなくても中には過剰な接触に出ようとした男達もいた。彼女が本当に男性恐怖症になれば、業務にも差し支えるのではないか。一抹の不安が明咲の頭を掠めた時、亜純が両者に割って入った。
「お兄さん」
「なんだァ?……お、そっちの姉さんも美人ですね!じゃあ四人で出かけましょう!」
「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ、色ぼけ」
「……っ!??」
「彼女、あたしのです。お兄さんには満足させられません」
「かの……え、もしかしなくても、で、デー……?」
「Wデートの、妨害です」