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ママ活
第7章 ママ活がガチ恋になるケース
佐和子を意識し出したのは、いつ頃か。
少なくとも再会して数週間は、明咲に身から出た錆を知らしめるだけの存在だった。もはや彼女に訴訟されても、明咲も彼女に受けた仕打ちを並べ立てれば、訴え返せる気さえした。
加害者相手に好意の芽生えるケースがある。ストックホルム症候群と言ったか。
明咲は、どうせ佐和子が飽きるまで償わなければいけないなら、彼女を愛した方が楽だとでも考えているのか。…………
あくまで友人の悩みごととして、翌週、佳歩に意見を求めると、このところおっとりした彼女特有の言葉つきが些か雑になってきたような友人が、言ってのけた。
「そんなに美人でスペックの高いママ活相手なら、その内、離してくれるよぉ」
佳歩曰く、名家に生まれた人間に、結婚は避けて通れない。愛だの恋だのに当人の関心はなくても、周囲がそれを許さない。むしろそうした家柄であれば、感情と結婚など切り離して考える。
「その女性がどこの誰かは知らないけれど、限られた自由を謳歌しているんだよ。でも、結婚しても、ママ活だったら続けられるかも知れないね。上流階級の人達にとって、お金で買う享楽は、不義にカウントしないかも」
それから、彼女はこうも続けた。