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ママ活
第7章 ママ活がガチ恋になるケース
「私じゃダメ?」
明咲は、訂正しそびれた。たとえすぐ反駁していたところで、佳歩は、でっちあげの「ママ活している友人」など初めから信じてもいなかっただろう。
そうした会話が彼女との間にあった別日、明咲は佐和子と出かけた。
健全なデートを気取っても、最終的に足を向けるのは、いかにもいかがわしいホテル。個室に入ると、明咲は佐和子に綺美果の件で謝意を示した。
「明咲に恩を着せるためにしたことじゃないわ。私には理解の及ばない人間が、どこまで変わるか……興味が湧いただけ」
赤みの強い茶髪を結い上げながら、佐和子がアームカバーを外す。それらを畳んでバッグに仕舞ったついでとでもいった所作で、彼女は明咲の手を取った。
佐和子の理解が及ばないのは、綺美果だけではない。その娘もだ。
明咲は、喉元まで出かかった本心を飲み込む。
愛を望みかけているのではない、ここ連日の気の迷いは、気まぐれだ。
シャワーを浴びて、互いの髪にドライヤーして、自堕落的に口づけを交わす。
可愛い、美しい、と明咲を誉める佐和子の恋人ごっこに付き合っていると、またぞろ彼女が昔を振り返って言った。男装している明咲が見たい。
そして彼女の荷物から、まるでそうした気分になることが想定していたととれる一式が出てきた。彼女に出逢った頃、彼女に会うために袖を通していたような、男物の衣類である。