この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ママ活
第1章 社長が昔のママだった──case1.明咲──
日が暮れかける頃、明咲は佐和子とホテル街へ入っていった。
カフェの半個室で身体を触り合ったり、百貨店の展望台で人目を盗んでキスしたり、佐和子は、意図して明咲から劣情を引き出そうと働きかけていた。
彼女の目論み通り、明咲は僅かに下着が濡れかけているのを自覚していた。
連れ込み宿の競合地は、まるでテーマパークの眺めだ。
明咲達が足を向けたのは、まずまず無難な四角い建物。
ただし、客室の扉を開けた明咲は、思わず佐和子を見た。
明咲には親しみ深い感じの部屋だ。しかし中世の闇を象徴する、鉄格子や拷問椅子が配置されて、一部の性癖を持つ人間なら見るだけで劣情をきたす玩具や器具が壁の空白を埋めた部屋は、以前の佐和子が一度も選ばなかったタイプである。
好みが変わった、とだけ言った佐和子は、荷物を置いて、ポールハンガーに上着をかけた。
「ね、もう良いでしょ?……絶対に触れさせてくれなかった明くん」
佐和子が、惜しみなく突き出た乳房を押しつけてきた。彼女の腕が、明咲に巻きつく。
この期に及んで明咲を偽名で呼んだのは、当てつけか。