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ママ活
第1章 社長が昔のママだった──case1.明咲──
気楽な学生である明咲を罵るか、自身の不幸を嘆くか。
このところ顔を合わせればそれらどちらかだった母親が、口を開いた。
「あんた、お金何とかしてこいよ」
それは、想定外だった。
言われてみると、賢明だ。
経済的に余裕のある家庭に育ったわけでもないのに、明咲にはアルバイトの経験がない。学費だけは工面してくれてきた母親に、今こそ恩を返すべきだ。
「ここ、身分証いらないんだって。歳、誤魔化して、明咲なら一日でそこそこいけるよ」
母親の出してきたのは、デートクラブの求人広告だ。
それには目を疑った。明咲は、飲食店やポスティングの職種を視野に入れていた。
聞けば、出どころは昨夜、彼女と話した客だという。知人の店が従業員を集めているらしく、基本給は人気ホストである彼女の収入と大差ないが、オプション次第で破格の収入が見込める。もちろん引き抜きは行為は違反で、その客も具体的な話はしたがらなかったが、彼女はこっそりチラシを持ち帰ったのだ。
「こういうのに詳しいお母さんがバレないって言うなら、バレないんだろうね。デートなら接客みたいなものだし──…」
「そうよ。こういうの使いたがる男なんて、若い子ほど喜ぶし、どうせ処女でしょ?それ言って上乗せさせてきなさい」
「え?」
「バレないってば。昔は私も客と舌絡めて、ママに黙ってお金もらった」
男を相手にセックスすれば、一年もあれば借金くらい返せるだろう。
どうと言うことはないように続けた母親は、明咲を玄関に引きずり出した。面接は受ける、だが肉体的な交渉はしない、と反論する娘に、例のチラシを叩きつけて。