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ママ活
第1章 社長が昔のママだった──case1.明咲──
「男の機嫌をとって、キモいオヤジの相手までしてお母さんの稼いだ金で、のうのうと暮らしてきたツケが回ってきたのよ。ゴミ男の借金はお前が返せ!」
「手伝うよ、でも全額は無理」
「まず二十万。持って帰るまで家に入れない」
ついには、乱暴な音を立てて扉が閉まった。
同じ扉の並んだ廊下に、明咲はしばらく立ち尽くした。じきに着替えてもいなかったことに気付いて、呼び鈴を鳴らすと、インターフォンから訴えた。
「バックには、そういう組織の人達が付いているでしょう。もしバレても隠してくれるわ」
「二十万は無謀。今回は仕方ないよ。おばあちゃんに相談すれば、きっと──…」
それからのことは、覚えておきたくもない。
定期券で移動出来るところまで移動して、地図の通りに歩く間、身体の節々が痛んだ。
母親が明咲に手を挙げたのは、今日に始まったことではない。男好きの彼女も雑食ではなく、気に入らない客に絡まれた夜などは帰ってくるなり娘を起こして当たり散らした。全裸でガレージに出してホースの水を浴びせたり、夜明けまで便器に正座させたりしたのは軽い方で、明咲の発育の悪い乳房の先端を洗濯ばさみでつねり上げたまま宙吊りにして、スマートフォンのビデオカメラだけを回して彼女は就寝したこともある。
従って、今更、男に身体を売ってくるよう言いつけられても驚かなかった。