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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
美しい人間は、特別だ。
生まれつき容姿に優れているか、後天的に美を磨いたかで初めて、人はあらゆる権利を得る。
ゆうは、ごく平凡な家庭に生まれ育った。姉は市内の大学三回生で、両親は、二番目の娘であるゆうを、姉より過保護に支配している。
支配というのは、この場合、娘を制約で縛りつけることを指す。他の全てを犠牲にしてまで受験勉強に打ち込んで、やっとの思いで入学考査を通過した公立高校の規則に絶対服従しろ、定期テストで平均点以上をとれ、夜七時以降は出歩くな。…………
十六歳の妹と、二十歳の姉。
たった四年離れているだけで、何故こうも姉だけがほどほどの干渉で済んでいるのか、ゆうには理不尽でならない。
姉は、ゆうに似ている。ゆうより少し肉付きが良いのを除けば、小顔に色白、小動物を想わせるくりりとした目許などから、姉妹で街を歩いていれば、まず二人を友人と見る他人はほとんどいない。顔に表れた共通点で、姉妹と見抜く。
ただし、姉の方が立ち振る舞いが上手い。
彼女がゆうほどの年端だった頃、両親や教師らは彼女にそれほど口煩くなかったし、大人達の知らない内に化粧を覚えて、やはり彼らの知らない内に、すらりとした体型を定着させていた。満足のいく容姿を維持するため、ただ当然の習慣を苦もなく身につけただけのゆうが、ことあるごとに小言を聞かされているのに対して、彼女の十代は、遥かに快適だったように思う。