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ママ活
第2章 令和の女子高生のママ活事情──case.2ゆう──
「ゆう!ご飯も食べなさい」
「豆腐で太るはずがないだろう。味噌汁の汁ばかり飲むな」
夜八時に家族揃って、食事をとる。
この時間も苦手だ。
日没後の食事を必要だと、誰が言い出したのだろう。風呂に入って眠るだけなのに、余計に栄養を蓄えて、ゆうにはその使い道も分からない。翌日、理不尽な増加に怯えながら、体重計に乗るだけだ。
体型にコンプレックスはない。ただ堂々と外を歩ける姿を維持するために、夜は栄養になるものを口にしたくないだけなのに、大人はそれを理解しない。
価値観の齟齬に疲弊して、ゆうにはストレスが溜まりやすい。そのストレスを発散すべく、胸ときめく分野に意識を向ける。洋服、コスメ、美容である。
煌びやかな世界に憧れていたゆうは、高校に入って最初の夏休み、SNSを始めた。
中学生の時分から、将来はJILL STUARTの美容部員になるという姉の影響もあって、身を飾ることに興味を持った。姉がAnk RougeやSTRAWBERRY FIELDSなどの洋服を好んでいる一方で、ゆうは、彼女より更に華やかなロリィタファッションに目を留めた。誕生日に両親や身近な親族達に物をねだれる権利や、クリスマス、正月などを全て使って、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTの童話調で貴族的な洋服の収集を始めた。